2010年1月 6日
中国が世界経済をけん引するエンジンになる中、香港で不動産市況の過熱感が高まっている。
高級住宅の価格は昨年1年間で3割も上昇、1室4億4000万香港ドル(約52億円)もするマンションが売れた。
各国の金融緩和であふれたマネーが流れ込み、不動産価格は実需を離れた水準にある。
不動産価格上昇の最大の要因は投資資金の流入だ。
米欧の中央銀行は景気刺激の名目で大量のマネーを市場に供給。
市場にだぶつく資金が、成長が見込める香港不動産市場に押し寄せる構図だ。
超低金利の米ドルを借りて新興国市場に投資する「ドルキャリー取引」を使い、米欧の投資ファンドが香港で不動産投資を増やしているとの見方も強い。
市況高騰の背景にはもう一つの理由もある。
膨張する中国マネーだ。

中国は厳しい資本移動規制を敷いている。
個人投資家が自由に香港ドルを調達して、香港の不動産を投資できるわけではない。
だが実態は「高級マンションの買い手の3割が中国人」(不動産仲介大手)。
当局の厳しい目をかいくぐって人民元が大陸から香港に流入し、不動産価格の上昇を演出しているのは周知の事実だ。
90年代後半の不動産バブルの発生と崩壊は、海外投機資金の流入と撤退が引き金になった。
この道はいつか来た道?
香港の不動産市場から今年は目が離せない。
(日本経済新聞 2010年1月4日(月曜日) 抜粋)